「音楽について話をする」村上春樹、小澤征爾
僕が二十歳だったある日、日本を出るときにカバンに入れた本が3冊あった。
そのうちの二冊は、村上春樹「風の歌を聴け」と小澤征爾「僕の音楽武者修行」だ。自分の海外での武者修行を支えてくれた二人が対談したのだ。それが、「小澤征爾さんと、音楽について話をする」である。
二人が、縦横無尽に音楽について語り会う。基本的には、村上さんがトピックを投げかけて、それについて小澤さんが語るという形式ではあるのだが、小澤さんの強固で強烈な音楽観を独走させることなく、村上さんが普遍性をあてはめようとするやり取りが面白い。
今では”巨匠”になってしまった二人であるが、スクーターに乗ってヨーロッパを駆け回ったり、自分のバーのカウンターで原稿を書きなぐっていた時代の熱い信念は、あのときのままだ。
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