寺山修司の詩
悲しくなったときは 海を見にゆく
古本屋の帰りも 海を見にゆく
「かなしくなったときは」より
学生時代は、寺山修司の詩が好きだった。
文芸活動の基が俳句だったから、言葉の選択も上手なんだと思う。簡潔で短い文の中に、独特の世界観があり、しみじみと心に響いてくるのだ。
文庫本の帯なんかにも使われたりして、とても有名になった、
ふりむくな ふりむくな
後ろには 夢がない
は、「さらばハイセイコー」の中にある名文で、僕も青春時代の座右の銘だった。
これは、数々の伝説を残した競走馬ハイセイコーの引退を偲んだ詩で、様々な人が自分の人生とハイセイコーの思い出を重ねていくのであるが、もうハイセイコーは、競馬場にも、馬小屋にもいない。だから、過去は忘れて前に進もう、あれは単なる競走馬であり、数枚の馬券にすぎなかったのだと思い切ろうとするのであるが・・・・
だが忘れようとしても
眼を閉じると
あの日のレースが見えてくる
耳をふさぐと
あの日の喝采の音が
聞こえてくるのだ
・・・このように詩は終わっている。
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